東京高等裁判所 昭和63年(ラ)872号 決定
本件土地は地目は宅地であるものの、都市計画法上の市街化調整区域に所在し、公法上の規制として同法による建築等の制限を受けた土地であること(同法四三条一項)、本件土地の評価人不動産鑑定士小川勉は、本件土地が都市計画法上の市街化調整区域に所在し公法上の規制を受けるものであることを評価書に明記したうえ、近隣地域の地価水準を参考にし本件土地と同様市街化調整区域に属する他の土地を地価調査基準地としてその調査価格と比較して本件土地の更地としての標準価格を求めていること、原裁判所は右評価人の評価に基づいて本件土地の最低売却価額を決定したこと、抗告人は、本件買受け申出後売却許可決定前に原裁判所に対し、本件土地を建築可能な土地とみて買受けの申出をしたが、建築不能の土地は必要でないので買受け申出を取り消し保証金を返還してもらいたい旨の上申書を提出した(右上申は、民事執行法七五条一項の売却の不許可の申出と解される。)が、原裁判所は売却決定期日に本件売却許可決定を言い渡したことが認められる。≪中略≫
以上によれば、原裁判所は、本件土地が市街化調整区域に所在することを前提に評価人による本件土地の評価及びこれに基づく最低売却価額の決定にあたりこの点を考慮に入れ反映させたうえで本件土地につき売却を実施したものであって、これを看過して売却手続を進行させたものでないことが認められる。
そうすると、本件競売手続において不動産が損傷(これには不動産の物理的損傷のほか権利の瑕疵等による価値的減耗も含まれる。)したのにこれが競売手続に反映されなかった場合の売却の不許可の申出等に関する同法七五条の規定が適用される余地はなく、同法七一条五号の売却不許可事由があるとすることはできない。
(松岡 牧山 小野)